『ジェネラル・ルージュの凱旋』(海堂尊)
あぁ。また。
なんやかや割り込みが多くなって
読むのが遅くなってしまったんですがぁ・・・。
去年から読んでいた田口&白鳥シリーズの第3弾
「ジェネラル・ルージュの凱旋」 を読みましたぁ~!!
正直、シリーズ最高傑作の呼び声が非常に高いこの作品。
第3弾でシリーズ最高傑作ってぇ、
どれほどの出来?
と思って、読み始めたんですが
はい。普通におもしろかったですv^○^v
舞台は、第2作目「ナイチンゲールの沈黙」と同じ
バチスタスキャンダルから9ヵ月後の東城大学医学部付属病院。
今作の舞台は、救命救急センター。
そうなんです。
これは2作目「ナイチンゲール」と同時進行の物語。
(それは読む前から噂で知ってた^^。)
だから、前半は前作とリンクしている部分も多く
そのため、この作品は前作とあわせて1作だな。
なーんて、思ったりもしてたのですが・・・。
ジェネラル・ルージュ。
別にミステリーっていうほどのミステリーじゃないんですよ。
(ってか、ミステリーじゃない。(笑))
前作にもちょこっと登場した
救命救急センター部長の速水が特定業者と癒着しているという内部告発文書が
リスクマネジメント委員会委員長の田口の元に送られて・・・
リスクマネジメント委員会とは別に
新たに設けられたエシックス・コミティ(倫理問題委員会)での査問、
場所を移してリスクマネジメント委員会での調査。
新たな殺人事件が起きるとか犯人探しを行うとか
そういった物語じゃない。
そこのところ、実は私は勘違いして読んでいたのです・・・
うん。でもねー。
全然、ミステリーじゃなくても おもしろい!!
っていうか、むしろミステリーじゃないから
余計に作者:海堂尊さんの主張がバンバン盛り込まれていて
読み応えが十分なんです!!
もちろん、「チーム・バチスタ」の時から
作者の現在医療に関する問題提起は多くあったんですが
本作はそれが際立っていた。
救命救急は病院経営としては採算があわないんだよ。
それでもほんとに命を助ける最前線として救命救急は存在している。
いや、存在しなければいけない。
赤字を減らしたい病院経営側。
命を守りたい現場の医師。
患者の在庫管理なんて出来ない。
事故は嵐のようにやって来て疾風のように去っていくから。
医療は、社会を守る治安制度ではないのか?
だったら、その収益を病院経営に押し付ける
国の根本的制度に問題があるのではないか?
エシックス・コミティとリスクマネジメント委員会。
2つの会議でのやりとりは
おそらく今作で作者が述べたかった一番の主張。
そして、あえてミステリーの体裁をとらなくても
今作は見事にエンターテイメントの作品と昇華している。
それはそれはほんとに見事!!
あとは、ジェネラル・ルージュ、速水部長がえらくかっこえぇー。
それはシリーズ主役の田口先生&白鳥をはるかにしのぎ・・・
(そのため、白鳥さんは今作ちょっと控えめかな?^^)
上巻最後の速水が"ジェネラル・ルージュ"と呼ばれるきっかけになった
エピソードには 本を読んでて、久々に鳥肌立ったよ。
そりゃぁ、人気も出るわけだ(笑)
※
もっと言えば、映画版で速水を演じた堺雅人君が
『情熱大陸』で、
「救命救急の激務で常に疲労が蓄積されている中、
チュッパチャップスの糖分だけでかろうじて意識をつなぎとめている速水という男を理解したい」
というようなことを語っていて・・・。
小説中に、その説明はなかったけれど
チュッパチャップスにはそんな裏設定があり、
それを知ると堺雅人君同様に
速水に対して、ものすごく思い入れが強くなっちゃうんです。
はい。
まさしく、シリーズ最高傑作の呼び声に値するこの作品。
"最高級"と言っても過言ではないほどの出来栄えですv^○^v
※
でも、読む前には前作「ナイチンゲール」を読んでおきますように♪
「行動には危険がつきまとう。行動しない口舌の輩がよってたかって行動する人間を批判する。いつからこの国はそんな腰抜けばかりになってしまったんだ?」
「如月、知らなかったのか?神の影は、悪魔の形をしているんだ。」
次は、ちょっと海堂さんを離れた作品を読もうと思いまーす。
活字っ子カテゴリーも何卒よろしくネ☆