幻想的な日々。はまだ我の手にない。

演劇とテレビと音楽。お笑いと小説と映画。そして幻想的な日々はまだ我の手にない。 でもあなたのことを想ったり。あなたの幸せを願ったり。詩を書くのも好き。ほんとはもっと明るく楽しい人生を送りたいだけなのに。。。難しいです。男の子でも女の子でもそんな年頃なのかもしれません。

『手紙』(東野圭吾)

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今回の読書は東野圭吾さん。


春先に読んだ『名探偵の掟』に引き続き、登場なのですが・・・。


実はその『名探偵の掟』の後、この『手紙』の前に
もう1冊、東野さんの作品を読んだのです。

それは、その『名探偵~』の解説にて
東野流「屋敷を孤立させる理由」の回答作品であるとされた『ある閉ざされた雪の山荘で』という作品。


えっとぉ、レビューには書いてません!!


それは、この作品は確かに「屋敷を孤立させる理由」
(舞台を孤立させる理由。犯人がその孤立する場所を選ぶ理由。)の回答としては
場面設定・状況の作り方も抜群で、
さすがだなぁ~!!って思わされたりもしたんですが
どうも、人物描写の点で、
つまり、犯人の動機であったり、登場人物の心の動きに関して
全くもって、納得がいかなくて・・・。

こんな短絡的な理由で人を殺す??

この人達の涙の意味は?? これは感動の安売り?? これは愛憎の大バーゲン??


そんなふうに思ったりして・・・。


あぁ、全く、納得がいかない!!

っていうか、
もしかすると東野圭吾という作家は
推理小説の状況設定・トリックの作り方はうまいけど
人物に関してはまったく書けない作家さんじゃないのー!!??

なんて、そんな疑問まで抱いてしまう始末・・・。


でぇ、ある時、いつもの通り
会社の同僚気気鵝?綰攘と昼飯を食べていた時、
いろんな作家さんの話になり・・・
(てへへ。バリバリのふつーのサラリーマンのくせに、ちょくちょくこんな話題で話するうちら^^。
ふつーのサラリーマンなのに??
うん。ふつーのサラリーマンなのに(笑)。 一体、何、話してんだか!?ヾ(≧▽≦*)ヾ)

そこで、僕が抱いた上記の疑問
東野圭吾さんって人物描写はちゃんとできんのー??-をぶつけてみたんです。

どうなんでんすかー??東野圭吾は!!


そしたら、同僚気気鵑硫鹽悊次のような回答をくれまして・・・

「だったら、『手紙』を読んでみたらー」

(ちなみに後輩君のおすすめは『容疑者Xの献身』でしたv^○^v)



で、早速、気気鵑房擇蠅篤匹鵑任澆燭鵑任后!この『手紙』を。



『手紙』


弟の大学進学のための学費欲しさに
昔、引越し屋のバイトで訪れた屋敷に泥棒に入り、
そこの老婦人に見つかった末、騒がれるのを防ぐため
とっさにその老婦人を殺してしまった兄・剛志。

そんな「強盗殺人罪」で逮捕され、刑に服役する兄を持つが故
社会から不当な扱いを受け、悩み苦しむ弟・直貴と
刑務所から毎月届けられる兄・剛志の手紙。

直貴はそれでも、進学、恋人、就職と
人生の幸福を追い求めるが、そのたびにことごとく邪魔をする「強盗殺人犯の弟」というレッテル。

次第に直貴は兄の存在を恨み
そして、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。




この作品は、「犯罪加害者の家族」がテーマにされていて
正直、感想は難しい。

一気に読み進められるけど
"おもしろい!!" なんて感想は絶対にあるはずはないし
"よかった!!感動した!!" なんてことも、あまり感想としては言いたくない。


だって、テーマが「犯罪加害者の家族」だよ!!

自分は罪を犯していないのに。
ただ、家族が罪を犯しただけなのに。


幸い、現実の自分の周りには犯罪を犯した人間はいないけど
実際、周りにいたとしたら・・・。

そんなこと考えると、ちょっと簡単には感想は書けないし、言いたくはない。


それは多分にデリケートな問題であり、
軽々しく、"感動"とか"いい作品だー!!"とか"深く考えさせられました。"
なんて簡単な一言で、まとめられるような代物ではないと思うから。


難しい問題なのですよ。
正直言って。



ただ1つ。

僕は、この作品を読んで嫌だったーって想いはない。

実は前半部分は、やっぱ、東野圭吾は自分にあわないなー。って思ったりもしたけれど。
最後まで読んだ今は
むしろ、この作品を読んでよかったと思ってる。


いやいや。東野圭吾さん。

人物も主張も書けますやーん!!


そして、この作品が
単なるお涙頂戴の物語ではないところに、自分としては評価を置きたいと思うのです。


次は『容疑者X~』かな。

では改めて。



「我々は君のことを差別しなくちゃならないんだ。
     自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる
         -すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。」


この言葉は非常に重いです。