簡単な言葉をただ連ねていく
例えば 虫の音が聴こえる 初夏の夕べとか
雨が降りそうな新緑の深さとか
汽車が来ない
次元のずれたホームのベンチで
この温度と匂いと触感と
静かな音色を想い出に混ぜ混んだ
完全な刹那を
宇宙の高みと走馬灯のプロローグとして
だけど私はいつか何もかもを忘れてしまう
神様のアーカイブの中で
君と話した集合体のかけらとか
よじれたいびつな季節とか
暗くなっていく地球とか
もしかしたら
遠くで鳴いてる小さな蛙が
覚えていてくれたらそれでいい
とある世界の
とあるホームの片隅で
汽車を待っている
次元を越えて
雨が降りそうな新緑の深さが
覚えていてくれたらそれでいい