幻想的な日々。はまだ我の手にない。

演劇とテレビと音楽。お笑いと小説と映画。そして幻想的な日々はまだ我の手にない。 でもあなたのことを想ったり。あなたの幸せを願ったり。詩を書くのも好き。ほんとはもっと明るく楽しい人生を送りたいだけなのに。。。難しいです。男の子でも女の子でもそんな年頃なのかもしれません。

『少女には向かない職業』(桜庭一樹)

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今年は、引き続き
今まで読んだ事のない作家さんを読もうと思って。

この間、直木賞を受賞されたということもあって
読んでみましたvv。



桜庭一樹さん。


少女には向かない職業



まぁ、例に漏れず
直木賞を受賞されてテレビなどで特集されるまでは
てっきり男の方かと思ってたんですけどね^^。


全然、女性の方で。


しかも毎日1冊は本を読むという・・・。



情熱大陸」とか
トップランナー」で
受けた印象は
そのまま 本好きの女性の方。


心底、本が好きなんじゃないだろうかと
思われたりしました。



そんな印象もあって
読んだ今作品。


冒頭文から

「中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した。」

です。


次のページに

「少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。」

です。


なんか、この時点で僕の心は
この作品に引き込まれていたように思います。



読んでいて思ったのは
ほんと、この人(桜庭さん)は
本が好きなんだろうなー。
と思うこと。


元はジュヴナイル小説を書いていた?
ちょっとライト・ノベル的っていうこと??


でも、
文の構成は短い文で
リズミカルに構成されていて
ものすごく読みやすい。

ものすごく読みやすいけど
この構成は、きっとこの小説(主人公が中学二年生の女の子)だからこの構成にしたのかな?

他の文体で書けと言われれば
この人(桜庭さん)は、どんな文体でも書くことが出来るんじゃないのかな??

なーんて
そんな作家さんの奥の深さが感じられもし、
また、この小説でも
一番、読者が読みやすい長さで文章を重ねる事で
主人公、大西葵(十三歳)の
逃れられない、どうしようもない状態が
的確に表現されていたように思えてしかたないのです。



全然、大人でも読めますよー。



全然、大人でも読めるし
ただ、内容的にはハード。



ちょっと
胸をえぐられるような
主人公本人的には意識をしていなくても
それは物哀しくて悲劇的で。


子供には子供の事情がある・・・。



だから、この物語は
ただ単に人をふたり殺す物語ではないのです。




蝉の鳴き声。
夏の風。
抜けるように高かった青空と、眩しい海。
殺人の記憶。




少女の魂は殺人に向かない・・・。




本好きの作家さんが書く文章は
いつも心のどっかに小さなトゲとひっかかりを残す。

そしてそれは作家としては
大変、名誉な事だと思う。


桜庭さんの本は
またどっかで必ず、も1度読もうと思う。


だって、善し悪しは別として
個人的にはすごく"あり"な作品だったから。





「我慢と秘密が同居する罪は、その子供を滅ぼす。だから、我慢しすぎないほうがいいってことだよ。」