愛情に餓えて
君はまた遠吠えをした
市民プールの屋内灯が
4月の夜の寒空に
花びらのように張り付いている
「これ、新品の自転車なのよ」
と、君の脚がクラシカルな模様を描いて
僕はまたひとつ夜を廻した
「世界最高峰まで生きたとしても
たかだかあと百年もいかないこの命だから
永遠なんて思っても仕方ないじゃない。」
刹那に愛して、刹那に愛して
その積み重ねが悠久となる
刹那に愛して、刹那に愛して
その積み重ねが僕を形作る
君を形作る
愛情に餓えて
君はまた遠吠えをした
いつまでも寒い4月の夜だから
いつまでも君と
こうして抱き合っていよう
花びらは散った
4月の夜に
君と僕を形作りながら