"全てに優しくなった"と言われるこの世界で
あまりにもロマンチックと話題を攫った商業映画が
ありきたりな愛の言及で終わる
テレビで絶賛を繰り返す
著名な映画コメンテーターが
個人チャンネルで露骨に嫌な顔をした
ぼんやり眺めて
僕は思う
ほんとうの自分は
気紛れなこの気分に
何を期待していたのだろう
大抵のことは
とうにわかりきっているのに
秋の紅葉を観に行きたくて
スマホを片手に名所を探すのだけれど
リコメンドされるのは
サディスティックな作品の 血に濡れた誰かの手のひら
暴力的に 批判的に
ありきたりな闇を描けば
世界に名だたる批評家達が
それを愛だと論じてくれる
歩きスマホでそれを観る
すまし顔の青年が
長蛇の列に割り込んで
優先座席に陣取った
"ありきたりな"愛は、多分、明日も"ありきたりな"愛のまま
誰にも言えなくて僕は
列も横目に
ひとり悲しくなったりする